眠れない夜、それから数年が過ぎた。
グーは夢の中で、ライオンに呼ばれたような気がして目を覚ました。

「何か大変なことが起きたのかもしれない」
さらにカツオくらいにちぢんでいたグーは、力をふりしぼって尻尾のプロペラを回転させ、ライオンの丘へ飛んで行った。

丘の上で、死にかけていたライオンは、嬉しそうにグーを見上げた。

「やー、約束を守って来てくれたんだね。
ほんとうにありがとう。
それにしてもグーはずいぶん縮んでしまったね。
まるでイワシみたいだ……」
ライオンはとぎれとぎれに話した。

「ライオンにもそう見えるんだ。
体の空気が抜けて、
ぼくは消えてしまいそうだよ。
でも消える前に、
ライオンに会えて本当によかった」

ライオンはすこし頭をもちあげて微笑んだ。

グーが、ライオンにできることは歌ってあげることだけだった。
「グーグー グーグー」と歌うと、
ライオンの苦しみは消えて、きもちよく寝入った。
そして、ライオンの呼吸と心音は少しづつ弱まって消えて行った。

グーは微かな音でも聞き漏らさないようにしていた。
しかし、生きている気配は何も聞こえず、静寂に包まれた。
グーは生まれてはじめて、深い寂しさを感じた。

グーはため息をつくたび縮んで、やがて砂粒くらいになってしまった。

グーはライオンの丘をしばらくただよっていたが、風に飛ばされ大空高くまいあがった。

やがてグーは小さな小さな泡に変わった。
泡ははじけて、一すじの光になって、
生まれた星空へ帰って行った。

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