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グーはすこし考えてからこたえた。
「心が広がったら、トゲはささらなくなるよ。
たとえば、この夕空を眺めてみたら。
心が少しだけ広がるかもしれないよ」
彼女は美しい夕空を見上げた。
「本当にきれいな夕空。
そう言えば最近、空を見上げてなかった」
彼女はぬいぐるみを抱いて、いそいで部屋にもどって行った。
少しして、彼女は彼の手を引いて庭に出て来た。
それから、二人は庭のベンチにこしかけて夕空をながめた。
「ぼくは、大きなことを達成するのが幸せだと思っていた。
でも、思い出すのは、小さなことばかりだ」
「わたしも同じ。二人で歩いた公園の小道とか、海の砂浜とか、
平凡でささやかなことばかり思い出してならない」
やがて、星がきらめき始めた。
でも、二人はベンチにいつまでも腰掛けていた。
部屋の窓から、ライオンとウサギたちも星空を見上げていた。
ウサギがグーに聞いた。
「二人は庭で何を話しているの?」
「夕空をながめていたら、いい気持ちになったって」
グーが話すと、
「なーんだ、そんなことか」
と、ぬいぐるみたちはあくびをしながら、部屋の奥へ戻って行った。
グーはいつものように「グーグー グーグー」と歌った。
ぬいぐるみたちは肩を寄せ合って寝入った。
ベンチの二人も、部屋にもどって気持ち良く眠りについた。
グーは安心して街を去って行った。
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